先日、ご常連のK様より、特別な額装のご依頼をいただきました。

K様が額装を希望されたのは、旧屋敷と新築一戸建ての写真です。 長年過ごした住まいと、新たな生活を始める場、それぞれに込められた思いを大切に飾りたいとのご相談でした。

そこで選んだのが、新潟産の桐を使用した古木調の額縁。 この額縁は、自然な風合いが特徴で、旧屋敷の歴史と新築の新しさを調和させるデザインです。

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また、写真を引き立てるために、マットには和紙風のライスペーパーを採用。 柔らかな質感が、写真に温かみと落ち着きをもたらします。

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今回の額装では、単に写真を美しく飾るだけでなく、その価値を長く守ることも重要でした。

そこで、保存額装を施し、写真が長期間にわたり劣化しないよう工夫しました。

 🔹 UVカットアクリル:紫外線をカットし、写真の色褪せを防ぎます。

🔹 悪性ガス吸着ボード(PAT試験合格品):100%コットンラグを原料とし、写真の劣化を引き起こす有害ガスを吸着します。

🔹 作品固定部材:接着剤を使用せず、写真を安全に固定できる保存仕様の固定具。

🔹 軽量アルカリ緩衝ボード(PAT試験合格品):無酸素材でpH7.5~9.5に調整され、写真の劣化を防ぎます。

🔹 調湿シート:湿度の変化を吸収・放出し、額縁内の環境を安定させます。

さらに、今回の額装には、 軽量三層バックボードを採用し、 額の強度を高めつつ、全体の軽量化を図りました。

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また、写真の固定方法にもこだわり、 直接テープを貼るのではなく、 無酸性の特殊マウントを使用することで、 長期間の保存にも耐えられる仕様となっています。

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更に木製額縁であるため、バリアテープ(木製額の内側に貼るテープ)を使用しました。これはバリア効果のあるアルミニウムと弱アルカリ性の紙で作られたテープで、木製の額縁から発生する酸性物質が、額内部の作品に悪影響を及ぼす事を防ぎます。

back2白い部分がバリアテープです

back 1テープ前 ⇒ back3テープ後

こうした工夫により、K様の写真は単なる「ただの写真」ではなく、想いの時空を一瞬で移動する、一種のタイムカプセルのような存在となりました。

 

K様からも「家族の歴史をしっかりと残せる形になった」とご満足いただき、私たちも大変嬉しく思います。

額装は、単に作品や写真を飾るだけではなく、思い出を守り、未来へとつなぐ大切な役割を果たします

 

写真や作品を大切にされている方は、 適切な額装を施すことで、その価値をより高め、長く楽しむことができます。

「なるべく写真の劣化しないように額装できるの?」 「どんな額縁が作品に合うだろう?」 そんな疑問があれば、ぜひ一度ご相談ください。

私たちは、お客様の大切な思い出や作品を、 最適な方法で額装するお手伝いをさせていただきます。